京都の年中行事の中でも最もよく知られている祇園祭。今年は旧に復して、前の祭りと、後の祭りに分かれて執り行われることになりました。
前祭りの月鉾の鉾立を見てきました。
月鉾の名の由来は、鉾頭(ほこがしら)ほこのてっぺんに、新月(三日月)をつけていることからそう呼ばれています。
山鉾32基の中でも、最も大きく、高く、重量も12トン以上あると言われています。
また、懸装品や、装飾類は細部にいたるまで緻密で美しく、その豪華絢爛さから、動く美術館と称されています。
月鉾の駒形高札です。
真木(しんぎ)に飾付けを施し、立ち上げる準備です。
真木は地上から鉾頭まで25mあります、まず櫓(胴組)を縄絡みで組立、横にして、真木の本を胴組に指込み立上げます。
真木の立上げは、最も細心の注意を払い緊張の連続です。
前後の手動のウインチを、肝煎の音頭に息をあわせて操作して行います。
いよいよ立上ってきました。
音頭取りが櫓(胴組)に上って、前後を見ながら指示していきます。
榊や飾付けの重みで真木がしなります。
手伝いの人々が固唾をのんで見守ります。
無事、櫓(胴組)と真木が立上りました。関係者や見物人から、大きな拍手が送られました。
立上った櫓(胴組)です。
続いて石持(いしもち)と呼ばれる部材を取付けます。
この石持は櫓や屋根、囃子方など重量を車輪に伝えるための大きな部材で、重量もあり、鉾の転倒を防ぐための重要な部材です。
石持を取付けた状態です。
石持を取付けた櫓の下部です。
美しい縄からみも、もったいないですが、見えるのはこの時だけです、裾幕や胴掛によって全部隠れてしまいます。
石持と車軸です。この上に巡行の時は音頭取りが乗ります。
屋根部分です。
鉾の組立前に「ホテルモントレ京都」で展示されました。
見えない屋根部分にも、緻密な美しい錺金物が取付けられているのがよく分かります。
屋根鬼板部分には、雲の浮彫りを背景に、3本足の黒い鳥(ヤタガラス神話では太陽の使いとされています)の彫刻が置かれ。
屋根下の破風部分には、時計草の緻密な金具彫刻で覆われ、その中央に、左甚五郎の作といわれる白い兎の彫り物、その下には亀が兎を見ています。
屋根裏の金地著彩(きんじちゃくさい)草花図は、円山応挙の筆と伝えられます。
屋根などの取付けが終わると、いよいよ組立の最終段階、鉾車の取付けです。
町屋の鉾収蔵庫から車が運び出されてきました。
危険なので見物衆は遠ざけられます。
車方により、一輪づつ慎重に取付けが進みます。
鉾をテコの応用で浮かして、車軸に嵌め込みます。
無事、四輪とも装着終了して、拍手が沸き起こりました。
後は胴掛や前掛など懸装品が取付けられて。曳き始めが行われることになります。
駒形提灯も取付けられた、月鉾です。
月鉾の全体像です。
後は宵山と17日の巡行を待つばかりです。
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