港で出会う芸術祭と銘打ち、「神戸ビエンナーレ 2013」が10月1日から、
『さく・SAKU』をテーマーに、神戸市内で始まりました。
会場は、大きく三ヶ所に分かれていて、メリケンパーク・神戸港エリア、兵庫県立美術館・ミュージアムロードエリア、三宮・元町エリア、となっています。
とても一日ではまわり切れず、今日はメリケンパーク・神戸港エリアを訪ねてきました。
このエリアは、メリケンパークのアートインコンテナ国際展と、神戸港海上アート展とに分かれています。
まず、神戸港の遊覧船に乗り、神戸港の遊覧を兼ねながら、埠頭や突堤などに設置された作品を鑑賞するというユニークな取組みです。
海が荒れると鑑賞出来ない作品があるという欠点は抱えてはいますが、あまり知られていない神戸港の姿をありのまま見られるという楽しさもあり、初めての経験でしたが、なかなか良いアイデアで、所要時間約45分の遊覧でした。
神戸港の1画、メリケンパークのアートインコンテナ国際展は、神戸ならではの面白い企画で、貨物船などに積込む輸送用のコンテナを集積させ、その内部空間、1個1個を展示スペースとして、各作家が作品を展示し、鑑賞してもらうというものです。
内部のそのコンテナ特有の限られた空間をいかに生かし、また利用して、自分の主張を表現していくかを問われるという作品群で、しかも展示はいろんなジャンルからの作品が一堂に会して、素晴らしかったと思います。
各作品は、時間の経過を忘れるほど、目を見張るアイデアや発想の集まりで、楽しい一時を過す事が出来ました。
案内パンフレットです。
神戸港遊覧船 「オーシャンプリンセス号」です。中央ターミナルから出港です。
オーシャンプリンセス号 大勢の小学生の団体と一緒で、賑やかな遊覧でした。
停泊中の「コンチェルト号」です。グルメ船として人気があります。ディナーやランチなどを提供しながらクルーズをしています。
モザイクガーデンの埠頭に立つ「旧新港第五突堤信号所」
大正10年(1921年)に神戸港に入港する船舶への安全を守る為の信号所として設置されたものです。
川崎重工のドックで、建造中のタンカーです。
三菱重工業のドック。 海上自衛隊の船舶の修理ドックです。
完成目前のパナマ船舶です。
三菱重工業のドック。海上自衛隊の潜水艦二隻が見えます。
中央卸売市場突堤の作品 「輝く人」 伊藤嘉英 作 海に向って、太陽に向って、咆哮しているような、そして全身が光り輝いています。
第一防波堤です。遠くに神戸空港が望めます。
波が高く、これ以上向う事が出来ず、ここでUターンです。
メリケンパーク 突堤の作品 「The Flowers of KOBE」 高須賀昌志 作
海上から鑑賞するように、作品は海に向っています。
中突堤中央ターミナル前に設置されています。「starry sky view 」 四方謙一 作
同じく、中突堤中央ターミナル前に設置されています「ミドリヲスクウテ」 兵庫県立大学院緑環境景観ビエンナーレチーム 作
壊れやすい自然環境や、緑のある風景を人間の手で守り育て、次世代に引き継いでいこうとのメッセージを表現しています。
公園のランドマーク オルタンシアの鐘
1989年11月に開催された、第一回神戸ファッションフェスティバルを記念して建設されたものです。
かっては一日に4回、鐘を鳴らしていましたが、大震災で被災し現在は鳴らしていません。
メリケンパークの所々に、このような作品が展示されています。
この作品もメリケンパークの一画にあります。作品名 「Blooming Universe 」 Cyryl Zakrzewski 作
「アートインコンテナ国際展」の入口です。
この作品群はいずれも撮影自由という、日本では珍しい寛容さです。
「風花雪月之扇」 陳 軍 作
その内の一枚です。精緻な筆使いが目を引きます。
「ガンバレ!タネ」 劉巍然・吉田泰巳(コラボレーション)
自然への暖かい眼差しが感じられます。奥まで入って行けます。
「Where the flowers come from?」リー・リーナム 作
見ていて楽しい作品です。有名な絵画の作品群の中を、自由にジェット機が飛び交います。
伝統的なイメージと、現代的なイメージを巧妙に織り交ぜた、その発想に感心します。
「Migrated strange flowers Dimensions variable, paper,」2013 View シン・ホユン 作
コンテナ特有の間口が狭く、奥行きが広い空間を巧みに利用して、視覚間隔に訴えます。
「いけばな京花傳」 手嶋敏和 作
新しい生け花のあり方を問う作品と感じました。
「風景2013 重陽 tyoyoh- 」 松本 司 作
旧暦9月9日は重陽の節句で、今年は10月13日にあたります。
別名、菊の節句とも言われ、古来より長寿を願うとされています。
着せ綿という風習もあり、五行に基づく五色(白、黄、赤、葉の青、水の黒)を以て、重陽の節句の想いを表現してみたいとの試みです。
「21グラムのゆくえ」 京都嵯峨芸術大学 山本ゼミ
21グラムのゆくえとは何か、生と死の狭間にある21グラムの魂、
その答えを求める為の、7人の学生の模索です。
かな美の世界 兵庫県作家協会
日本独特のかなの世界、そのかなの書の美を集めた作品集です。
扇面に書かれた、筆使いの繊細さに日本人の感性の豊かさを、改めて感じます。
「Light flower of Two faces 」 安蔵隆明
素晴らしい作品です。さすがにこのコンペの大賞作品に相応しいと思いました。
スイッチを押すと、ストロボが発光し、色々に変化し姿を表し、また動きが加わり、華やかな色彩を見せてくれます。
瀬戸内芸術祭の直島で、これと同じような傾向の作品を鑑賞しましたが、光とアートの組合せ作品が、今後益々現れる予感がします。
「The Slowdown Of Time」 HANS SCHOHL
面白いユニークな作品です。作家の言葉では「花はゆっくり咲き、ゆっくりと発芽を行う。時間に追われ続ける日常の生活を花の咲く時間から考え直す」と。
「LIKE A FLOWER 」 ARES BENDA
チェコの作家の作品です。コンテナ一杯に広がる輝く光は、自分の居場所を見失う、錯覚に陥るようです。
多くの人間が自分の居場所を求めて彷徨っているように。
「Spliced View 」 四方謙一 作
コンテナ内の細長い空間一杯に、巨大な錐状の立体を嵌め込み。コンテナのその奥、またそれを切り裂いた先の情景を見定めようとする、未知の世界の不安定さを突き破ろうとする迫力です。
中央ターミナル前に設置されている「starry sky view 」と同じ作家の作品です。
コーヒー豆の旅 SANTOS-KOBE あさうみまゆみ・河南誠
コンテナによって、遠い異国の地から運ばれてくるコーヒー豆。
楽しいか、不安か、嬉しいか、そんなコーヒー豆の気持ちを、ユーモラスに表現した、楽しいホットでクールな作品です。
未生流中山文甫会 中山高昌 作
生け花とは言い難い生け花、されど生け花、オブジェというべきか。
とげとげしい、地球の向こうに見えるのは、複雑に絡み合った世界なのか。
はるかに見える青空が、少しは希望の光を投げ掛けてくれるのか。
メリケンパーク ポートタワー 神戸海洋博物館
会場内から港神戸のシンボル、ポートタワーと海洋博物館が見えます。
<メモ>
「神戸カルチャー情報誌 2013臨時号」より転載しました。
コメントする