5月15日、古都を彩る京都三大祭のひとつ「葵祭」の巡行が行われ、雅な平安装束に身を包んだ行列が、多くの市民や観光客を魅了しました。私も午後、新緑の加茂街道に出かけて、華麗な平安絵巻を見物しました。
この「葵祭」は下鴨神社と上賀茂神社の例祭で、1400年前、欽明天皇が五穀豊穰を祈ったのが始まりとされ、江戸時代より行列などの飾りを、すべて葵の葉(フタバアオイ)で飾るようになって「葵祭」と呼ばれるようになりました。
行列は、大きく分けて本列と斎王代列に分かれ、本列は勅使代を中心に、斎王代列は斎王代を中心にした女人列となっています。
「本列」
「乗尻」(のりじり)です。行列を先導する騎馬隊です。
「検非違使尉」(けびいしのじょう)です。行列の警備の最高責任者です。
「山城使」(やましろつかい)と従者たちです。
「牛車」(ぎっしゃ)です。一般に御所車といわれ、天皇の使いで、行列中の最高位者の勅使(ちょくし)が乗る車で、藤の花などで軒を飾り、牛に引かせます。行列の最高の華として注目を浴びています。
「風流傘」(ふりゅうがさ)です。大笠の上に牡丹や杜若の花などを飾り、華やかさを演出します。
同じく「風流傘」(ふりゅうがさ)です。本列の最後を担います。
「斎王代列」
「命婦」(みょうぶ)の列です。高級女官の通称で、花笠を差し掛けられ参内します。
「命婦」列です。
「女嬬」(にょじゅ)食事を司る女官たちです。
「斎王代」(さいおうだい)の行列です。
「斎王」は葵祭の主役で、平安時代には内親王が選ばれて奉仕をしましたが、現在は斎王に代わるものとして、斎王代が京都市民の中から選ばれて、御祓をすませ、十二単の大礼服で、腰輿(およよ)という輿に乗って参内します。
「童女」(わらしべ)です。
騎女(むなのりおんな)斎王付きの巫女です。女官達と共に6騎が列をなしています。
采女(うねめ)です。朝廷での日常の用務にあたっていました。
蔵人所陪従(くろうどどころべいじゅう)雅楽を演奏する文官です。
牛車(ぎっしゃ)です。斎王の乗る牛車で、葵と桂のほか桜と橘の飾られます。
牛車を最後に華麗な葵祭の巡行も終わりました。この行列には、多くの奉仕者を始め、多数の牛馬などが加わり、路頭の儀として行われています。また、この巡行前後に上賀茂、下鴨両神社では古からの多くの厳かな神事や儀式が執り行われ、王朝の伝統を忠実に守られています。これらの行事を受け継いでおられる関係者の労苦も大変なことと察しますが、京の町衆の大いなる力も、その支えの一端になっていることと思います。
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