Yankeesは、7月に入り、MinnesotaでTwinsをSweepして7勝2敗の好スタートを切り、地区首位のRed Soxに追いつきました。そして、All-Star Break前最後の3連戦に向けて、Anaheimに乗りこみました。結果は、Angelsに3連敗を喫して、その間、3連勝したRed Soxに3ゲーム差をつけられました。前半戦終了直前にSweepされたのは、何とも後味の悪いものでした。通算成績は、51勝37敗です。
Angelsとの3試合は、すべて勝利するチャンスがありました。最初の2戦は、5対1、4対0と序盤から主導権を握っていましたが、各試合先発のJoba(4.1回、5失点)とPettitte(4.1回、6失点)が5回を保たずに降板し、その後、ブルペンも打ち込まれて、10対6、14対8と大敗しました。最終戦は、5対4の接戦となりました。先発のSabathiaは、6.2回まで粘りの投球をみせましたが、5失点という内容でエースの働きをすることができませんでした。しかし、Yankeesは、7回、8回と2度の無死満塁のチャンスを得ていました。8回は、2得点を上げることができましたが、7回は、Teixeiraが三振とA-Rodが併殺打でチャンスを潰してしまいました。Yankeesにとっては、非常に惜しい試合でした。
Yankeesは、今シーズン、地元でAngelsに2勝1敗と勝ち越しましたが、このところ、Angelsには大きく負け越しています。2004年からこれまでの対戦成績は、Angelsの33勝18敗で、特に、Anaheimでは、18勝7敗となっています。なぜかAngelsを苦手としています。Small Baseballを巧みに取り入れたScioscia監督の采配に翻弄されているのです。
Angelsに限らず、今シーズンのYankeesは、各地区1位のチームとの対戦成績がよくありません。Red Sox(0-8)、Angels(2-4)、Phillies(1-2)、Tigers(2-1)に対して、5勝15敗です。さらに、同地区昨年の覇者、Rays(4-4)を加えると9勝19敗となります。さらに、注目すべき点は、先発4本柱がこうした強豪チームを相手に結果を残していないことです。Sabathiaは、0勝4敗、Burnett、Joba、Pettitteの3投手は、各1勝2敗です。Yankeesの後半戦のひとつの鍵は、Red Soxをはじめとした強敵にいかに立ち向かうかということでしょう。
Yankeesは、今年、Post-Seasonに進出することができるでしょうか。前半の成績を振り返りながら、考えてみたいと思います。まず、オフェンスのStatsを見てみましょう。495得点、132本塁打(Rangersと同数)、出塁率(358 Ave.) は、いずれもMLBで一番の成績です。打率(276 Ave.)は、Angelsについで2位です。数字は、申し分ないものです。しかし、勝負の分かれ目は、好機に結果を残すことができるかという点に絞られます。特に、強敵を相手にしたときは、尚更のことです。その役割は、何といっても主軸に求められます。主軸の前半戦の成績を見てみましょう。Teixeiraは、4月の大スランプを乗り越え、Yankees打線で最もよい成績を残しました。21HR、63RBI、275 AVE.です。A-Rodは、5月に怪我から復帰した後、6月にスランプに落ち入りましたが、17HR、50RBI、256 AVE.とまずまずの結果を残しました。次に、後半戦、5番でスタメンに登場する機会が多いと予想されるMatsuiの成績です。両膝の状態が万全ではない中で、14HR、40RBI、265 AVE.という成績でした。しかし、5番打者としては、物足りない数字です。以前にも指摘しましたが、Yankees打線の1つの問題は、A-RodをProtectする信頼できる5番打者が存在しないことです。Matsuiがその役割を果たすことができるか、注目したいところです。この3人は、好機でどのような結果を残しているでしょうか。得点圏打率は、Teixeira(245 AVE.)、A-Rod(278 AVE.)、Matsui(238 AVE.)です。Yankeesの主軸としては、お粗末な数字です。彼ら3人が好機で結果をだすことが、勝利への近道です。
オフェンスでもうひとつ気がかりな点は、Outfielderの配置です。6月30日に、PiratesからトレードでEric Hinskeが入団しました。怪我で今シーズン復帰が不可能となったNadyの代わりとみなされています。外野(両翼)だけでなく内野(1、3塁)も守れるUtility Playerとしても期待されています。ところが、代打を含めて3試合で打席に立ったHinskeは、3本のホームランを放ち、存在感を示しました。監督のGirardiは、Damon、Cabrera、Gardner、Swisherを含めた5人のOutfieldersを交互に出場させると明言しました。はたして、そのような起用がよい結果を生むのでしょうか。現時点では、Damon、Cabrera、Swisherがレギュラーで、他の2人は、控えとして使う方がよいと思います。
さて、Yankeeの大きな問題は、やはり、投手陣です。前半戦の成績は、チーム防御率、4.54で、MLB30球団で23位です。その下に25位のPhilliesと27位のAngelsがいますから、この数字だけで、チーム力を判断することはできません。Yankeesの場合、特に、序盤、絶不調のWangが大量失点で破れる試合が数試合ありましたし、ブルペンが崩壊した試合も多くありました。その結果が、通算の防御率に反映されています。最近は、ブルペンが安定してきていますから、後半戦には、よりよい数字が期待されます。
投手陣の問題としてまず上げられるのは、7月4日の試合で怪我をして再びDL入りしたWang(1-6、9.64 ERA)の代わりを誰にするかという点です。Hughesは、8回のSet-upとして活躍が見込まれるので、先発に復帰することはないでしょう。Acevesも、前半最後の登板で先発しましたが、リリーフの方が適しているように思われます。Halladayのトレード話が注目されていますが、Yankeesは、おそらく、その話から距離を置くでしょう。そうなると、3Aで結果を残しているメジャーでの先発経験もあるSergio Mitreが有力な候補となります。はたして、Mitreがローテーションを守ることができるか。Yankeesにとっては、ひとつの不安材料です。
その他の先発投手陣にも不安は残ります。特に、Joba(4-2、4.25ERA)とPettitte(8-5、4.85 ERA)は、最近、不安定な投球が続いています。Jobaは、制球難により、6、7回と長いイニングを投げきれず、勝敗なしの試合が極めて多い投手です。Pettitteは、昨年、後半戦に失速した経験があり、今シーズンもその不安を払拭することができません。この2人が試合を作ることができるかは、Yankeesの後半戦にとって、とても重要な要素です。
エースのSabathiaは、8勝6敗、防御率3.86という数字で、必ずしも期待通りの仕事とは言い難いものですが、それなりの結果を出しました。Sabathiaの場合、例年、後半に期待がもてる投手ですから、額面通りの働きをしてくれるでしょう。一方、Burnettは、8勝4敗、防御率3.77と、先発陣で最もよい成績を残しました。特に、このところ、安定した投球が目立ちます。さらなる活躍が期待されます。
攻撃陣と投手陣の問題点を指摘しましたが、勝敗の分かれ目は、ちょっとした1つのプレーに集約されることがあります。強いチームは、Fundamentalsがしっかりとしていて、Situational Hittingを確実にこなします。ひとつの犠打や進塁打が勝負を決めることがあります。YankeesがPost-Seasonに進むためには、その辺りも改善する必要があるでしょう。