6月を5勝2敗という好成績でスタートしたYankeesは、1ゲーム差の地区首位を守り、今シーズン勝ち星を上げていない宿敵Red Sox(地区2位)との3連戦に挑みました。結果は、またしてもSweepされ、通算8連敗となり、2ゲーム差で追う展開となりました。
Yankeesは、今シーズン、なぜRed Soxに勝つことができないのでしょうか。この3連戦を振り返ると、まず、先発投手がその役割を果たしていないことが上げられます。最初の2戦、Burnettが2.2回5失点、Wangが同じく2.2回4失点という内容で、2人とも大誤算でした。第2戦目は、打線の奮起により、1点差(6対5)まで詰め寄りましたが、勝利をつかむ流れを呼び込むことができませんでした。先発投手が3回を投げきれずに降板する試合で勝つ確率は、極めて低いといえます。
次に問題であるのは、何度も指摘している貧弱なブルペンです。Red Soxの強力なブルペンと比較するとその頼りなさは歴然としています。最終戦は、エースSabathiaが7回まで1失点という好投をしましたが、8回に崩れ、アウトをとれずに、1点を与え、ランナーを2人残して降板しました。2番手として登板したAcevesは、次の3人の打者に対して、連続ヒットと犠牲フライを打たれ、あっさりとSabathiaのランナーを2人返すとともに、彼に黒星を与えてしまいました。ここで、Acevesを責めることはできません。彼は、メジャー昇格後、ロングリリーフとしてすばらしい役割を果たしてきました。問題は、そのAcevesを8回、大接戦の試合で使わざるを得ないブルペンの弱さにあります。Yankeesには、確立したSet-upが存在しないのです。4月にSet-upの地位を獲得したBruneyがDL入りした後、5月以降、強力打線のおかげで、Set-upの問題がクローズアップされることなく、Yankeesは、その場しのぎで、ここまで戦ってきました。しかし、Red Soxのような強いチームと対戦する場合、いかにして1点を守りきることができるかが勝負の分かれ目となり、ブルペンの特にSet-upが重要視されます。かつてのJobaのような信頼できる投手がいたら、8回のピンチを凌ぐことができたかもしれません。実際に、第2戦目、Red Soxは、Okajimaが1.1回を完璧に抑えてYankeesの反撃を止め、クローザーのPapelbonにつなぎ、勝利を得ました。Okajimaは、今シーズン、かつてのような確立したSet-upとしてみなされているわけではありません。Red Soxにも8回を常に任せるSet-upが存在しているわけではありません。しかし、その日の状況で、Okajima、Saito、RamirezがSet-upとしての役割を十分に果たしています。残念ながら、Yankeesには、そのような信頼がおけるリリーフがいません。その差が8試合の結果に反映しています。
もうひとつ指摘したい点は、強敵と対戦するときの作戦です。最終戦、Yankeesは、6回まで、Red Soxの先発投手、Pennyに完璧に抑えられていました。7回、2番手のDelcarmenから3点をとり、逆転しました。その時の攻撃で注目すべき点は、先頭のCabreraがヒットで1塁に出た後、次の打者、Cervelliが見事にヒットエンドランを成功させ、レフトへの2塁打を打って、Cabreraをホームに迎え入れたことです。1対0で負けている状況で、誰もが送りバントを予測している場面でのバスターという奇襲作戦でした。Cervelliの打球は、3塁手Lowellへのライナーで、ダブルプレーにつながる可能性があったものでした。まさに紙一重の打球です。成功したわけですから、Girardiの見事な采配とみなされますが、はたしてそうでしょうか。失敗して、ダブルプレーとなっていたら、その時点で、Yankeesの追撃は途絶えていたでしょう。行き詰まる接戦では、送りバントのようなSmall Baseballが重要になることがあります。結果がすべてですが、Cervelliに確実に送らせ、1番からの後続に期待する作戦の方がよかった気がしてなりません。強攻策による幸運な得点よりもチーム力を示す確実な得点の方が、勝利につながります。特に、強敵を相手とする場合、Fundamentalsを確実にこなすことが不可欠です。今シーズン、Yankeesは、Red Soxを相手に、その点でも劣っています。それが、8連敗という結果を招いているのです。
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